サガリバナの開花の時間軸における変化

サガリバナの開花状況

 今回はメインの目的はサガリバナ。サガリバナ自生地近くに宿をとり、ここから何度も花の様子を見に行くというやり方をしてみました。このためサガリバナが固い蕾から、だんだん開いていく様子を撮影・観察できました。

  これが、なかなかおもしろかったです。サガリバナをこんなに続けて観察することは今までありませんでした。今から思えばもっと細かく撮影しておけばよかったと思いますが、あとの祭りです。まあ、そこそこサガリバナを撮影したので良しとしましょう。

 今回は、サガリバナの蕾が開くまで、思ったよりも大きく、速い動きに驚かされました。観察していると、雄しべがぴんぴんと出てくるのがわかるほど。

 小さな蕾が、あの大きな花になるまで、たった2日で開くのです。

1:最初は萼の蕾。球状で直径8mmほどの蕾になっている。赤紫色のことが多い。

2:萼の蕾が上下ふたつ(~よっつ)に開いて、球状の直径1.5cm淡黄白色の花弁の蕾が出てきます。

夕方4時のサガリバナ
ここからの動きが速いのです。

サガリバナの蕾、第2段階
小さな紅紫褐色の萼から
緑がかった白色の球状の花弁の蕾が
はみ出してきています

花弁は4枚
中央の蕾は花弁の間から雄しべが見えています。

サガリバナ(Barringtonia racemosa)
サガリバナ科

3:花弁が開いて、中から雄しべが出てきます。ある程度サガリバナの雄しべが開いてくると、雄しべの間から赤い雌しべが出てきます。       

夕方6時のサガリバナ
サガリバナの花が開き始めたところ
まだ花弁も伸びきっていません。
雌しべ岳がピンと伸び、
上に向かって緩やかにカーブしています。
おしべはまだ渦を巻くように
丸まったままです。

4:ぐるぐる巻きになっていた雄しべが、ほどけるようにどんどん開きます。

夜8時過ぎのサガリバナ

サガリバナの花を横から見ると
雄しべの付け根は合着して、
筒状になっています。
花弁は緑がかった白色。
雄しべは先端に花粉があるので黄色、
雌しべは赤い糸状のもの

サガリバナの花の右側には
明日開花予定の花弁の蕾
下には昨日咲いて落ちたみっつに分かれた萼
この写真には今日、昨日、明日
みっつの状態が写っています。

5:夜になると、花弁も雌しべも完全に開きます。雄しべは緩やかにカーブしながら上をむいて咲きます。

早朝6時のサガリバナ
花はまだまだ元気です。

サガリバナの花穂は一日で全部が咲くのではなく、
ほとんどは初日に上半分が咲いて落ち
翌日同じ花穂の下の半分弱が咲いて落ち
3日目に残り僅かが咲いて落ちる
というように咲きます。
まれに上下の順番が狂っているものもあります。

サガリバナの蕾を見ると
あとどのくらいで咲くかわかります。

よい香りがするのもサガリバナの特徴
この花の甘い香りを楽しみながら撮影していると
一日良い気分になれます。
サガリバナ開花、朝7時

花付きのよい個体は
これくらいゴージャスに咲いていました。
この写真で一本の木です。
もうバサバサッボタと、大きな音をたてて
サガリバナの花弁と雄しべが
どんどん落ちてきます

6:朝、5時過ぎから花は落ち始めます。落ちるのは、花弁と雄しべだけです。雌しべと萼は残ります。すぐに全部が落ちるのではなく、時間をかけてゆっくりとひとつひとつ落ちていきます。

 サガリバナの花は、落ちた花が川面を埋める姿もいいですが、ゆっくり咲いていく花を観察できるのもよいですね。今回は同じ花の前で、何回も続けて見ていたので開花のスピードが思ったよりも速いことを体験できました。

 2019年はサガリバナの開花は遅れています。私が石垣島に滞在していた時が、サガリバナ開花のピークはじめでした。サガリバナは高木です。葉は長さ50cm近くあるのが特長のひとつ。マングローブ林よりも少し陸地側の湿地を好みます。サガリバナ科の植物にゴバンノアシがあります。