シラタマホシクサ、ホザキノミミカキグサ、ミミカキグサ
葦毛湿原にはたくさんの花が咲いていました。この時期花は多いのですが、小さな花が多いのです。特にシラタマホシクサの花、ミミカキグサ類の花は小さいのです。小さいだけではなく、想像もつかないようなおかしな形をしています。
よく見てみないとそこにあることすらわからない小さなもの。この世界に入り込むことが、ミクロの探検なのです。
葦毛湿原は愛知県の豊橋にある美しい湿原です。葦毛湿原は周囲を低山に囲まれた小さな湿原です。土砂崩れによってできる湧水が湿原の水源になっています。ほおっておくとどんどん乾燥してしまうので、今は人の手で、湿原を維持する、実験的な自然保護も行っています。
伊勢湾周辺だけにしか分布しない伊勢湾要素植物と呼ばれる植物群があります。シラタマホシクサ、ミワカバイケイソウ、ミカワシオガマ、マメナシなどけっこうあります。これらの植物群は、氷河時代に寒冷地を好む植物が平地に生息していた植物です。そのころは伊勢湾は古伊勢湾湖となって、草原が広がっていたようです。
氷河期が終わって、湖が伊勢湾になったころに、湿原だけは氷河期に近い環境が残り、そのころに繁栄していた植物が、湿原の近くにわずかに生き残った、という生命の歴史があり、伊勢湾の周辺にはちょっと変わった他の場所では見られない植物がひっそり生えているのです。
今回見に行ったシラタマホシクサもそのひとつ。やはり、行ってみないといけません。