サトイモ科 ザゼンソウ属 ヒメザゼンソウ
先月に見たヒメザセンソウですが、あれから半月。ブログに色々書くことが多くて、なかなか書けませんでした。ちょっと時間が空いてしまったのですが、ヒメザゼンソウについてわかったことを書いていきます。
ヒメザゼンソウの花
ヒメザゼンソウの花は、ミズバショウと同じサトイモ科なので、大まかなつくりは同じです。一枚目立つ花のようなものは、仏炎苞と呼ばれるものです。水芭蕉では真っ白ですが、ヒメザゼンソウでは暗褐色。仏縁苞に包まれたように配置してある棍棒状のものが、本当の花の集まりです。雌雄同株で、雌しべが先に展開し、その後雄しべが出てきます。これは、時間差をつけることによって自家受粉を避けるためのシステムで、「雄雌順、ひとり時間差性転換」と私は呼んでいます。
ヒメザゼンソウの花は棒状のものです。表面にはタイルのような模様があり、これが花被片です。花被片の間から透明な雌しべが出てきます。その後、淡黄色の葯が出てきます。葯が割れると、たくさんの花粉があふれてきます。この後、雄しべの葯はしぼんでいき、なんだか枯れて、仏炎苞は腐ったようになりますが、実際花はちゃんと結実して、ゆっくりと果実を成長させていくようです。
花の周りには葉がありません。ヒメザゼンソウの葉は低いところにあるので、夏になって周りの落葉樹が葉をつけ、草が高く伸びると、ヒメザゼンソウの葉には日蔭になって太陽光線が当たりません。そうなるとヒメザゼンソウは光合成ができなくなります。これでは、せっかくためた炭水化物などの栄養も消費ばかりしてしまいます。ヒメザゼンソウはこれを避けるために、春の間だけ葉を大きく展開し、初夏には葉っぱは落葉させてしまいます。ヒメザゼンソウは葉に関しては、カタクリなど春植物(スプリングエフェメラル)に近いシステムなのです。
本来は葉っぱを展開している春に花を咲かせればよいのでしょうが、まだ寒い春には、あまりヒメザゼンソウの花粉を運んでくれるような昆虫がうろうろしていません。それで、葉が枯れ落ちた初夏になって花を咲かせるというシステムをとっています。一人時間差が好きな植物ですね。
花の周りに変なも模様の大きなラグビーボール形のものがありました。これは、昨年花が咲いて結実したもの。なんと一年かかって熟していることになります。ここでもまた一人時間差を使っています・・・。
おもしろい花でした。ヒメザゼンソウ。一年を通して観察してみたほうがよさそうです。