シロシャクジョウ ヒナノシャクジョウ属 シロシャクジョウ
シロシャクジョウは、ヒナノシャクジョウ科の菌従属栄養植物です。菌従属栄養植物とは、キノコなどの菌類から栄養や水分を奪って生きている植物のことです。だから、葉緑素はなく、全体に真っ白、というか半透明です。
本州の近畿、四国、九州、屋久島、琉球に生えます。今回は滋賀県に日帰りで見に行ったのですが、さすがに車で往復10時間以上かかり、なかなか大変でした。駐車場から自生地はすぐだったので、あまり歩かなかったです。
高さ5cmくらいの小さな植物で、何も知らなければ小さいキノコのよう、サイズは細いマッチ棒のようです。茎は針のように細く、わずかに鱗片状の葉がついています。その先端に、マッチ棒の先端程度の大きさの花が咲きます。よく見ると、先端がみっつに分かれて開き、さらに黄色に色づいて、とてもかわいらしいです。この花びら状のみっつの先端部分は外花被片です。ユリ属の花と同じように萼片が花びら状になっているということです。外花被片があればm内花被片があるはずですが、シロシャクジョウでは内花被片は発達しておらず、外花被片だけの花のようになっています。外花被片は基部が合着しています。そこでマッチ棒の先端がみっつに開くというような形になっています。
小さな花をよく観察しましたが、花の中には先端がみっつに分かれた柱頭が見えました。花は両性花のようですが、雄しべが見えませんが、どうなっているのでしょうか。シロシャクジョウの花の特徴は、花筒の下部に花のサイズとしては大きな翼があることです。翼はみっつあることが多いようです。
生えていたのは神社の森。100年以上そのままの安定した古い森です。スギが中心ですが、落葉樹も混じっていて、林床まであまり光が当たらないちょっと暗い環境です。花粉を運んでくれそうな昆虫はいませんでした。
とにかく不思議な植物です。見たことは初めてではありませんが、今回初めてゆっくり観察することができました。今回もOさんに教えていただきました。ありがとうございました。花は8月13日の時点で咲き始めの状態で、咲き終わった花もありましたが、つぼみの花もあり、いい感じでした。