奄美大島のマングース根絶

 奄美大島でマングースが根絶されたと、環境省が発表しました。とてもいいことです。バカバカしいくらいの巨費と多くの人の手間がかかったようです。そこにいなかった生き物を持ち込むことで、大きな影響を自然界に与えてしまいました。もともとマングースはハブ類を駆除するために人間に持ち込まれたのですが、マングースだって猛毒を持って危険なハブよりも、小さなアマミノクロウサギや、アマミトゲネズミなどを食べたほうが・・・。ということで、人間が持ち込んだマングースを、人間の手で駆除することになったのです。外来生物の移動は大きなリスクがあるのです。

 奄美大島や沖縄本島のジャングルを歩いていると、よく見かけたのがマングース捕獲機。マングースは頭がいいので、同じ捕獲機はすぐ覚えてしまって新しい、捕獲機を考える必要があるとのことでした。数年前に奄美に行ったときに、「もう数年間マングースは捕獲されていないので、もうすぐ根絶宣言が出るでしょう」と現地ガイドの方からお聞きしていましたが、やっとその日が来たのです。マングースがいなくなった影響でアマミノクロウサギの個体数が数倍になったそうです。

 マングースの根絶は、奄美の野生動物だけの話ではありません。野生植物にも大きな影響を与えます。なぜなら、奄美大島のヤクシマツチトリモチ(別名ユワンツチトリモチ)はアマミノクロウサギに食べられることで種子を運んでもらっているのです。このことは数年前に神戸大学の末次健司先生のグループにより発見されました。アマミノクロウサギが増えると、ヤクシマツチトリモチが繁殖するチャンスが増えるということです。これからや奄美大島のヤクシマツチトリモチがどうなるのかが楽しみです。(屋久島ではヤクジカが運んでいるのだろうか?)