2025年08月07日 白馬大池から蓮華温泉

 白馬ボタハイから一昨日(8/7)下山し、今日もずぶ濡れになった靴を洗い直したり、カメラとレンズを完全に乾燥させたり、大雨だった山歩きの片づけをしていました。すると、ネットニュースで「北アルプス白馬岳で男女3人遭難」とのこと。よく読んでみると、8月7日に蓮華温泉から登った8人パーティの内、5人が白馬岳山頂付近で遭難し、3人が救助されたとのこと。記事に書かれていませんが、2人は自力で山小屋へ向かったのでしょう。

 この日、我々は白馬大池小屋を出発し、蓮華温泉へ下りました。朝、6時出発予定です。外では雨が激しく降っていました。白馬大池小屋ではWIFIが通じるので、詳しく天気予報を見ることができます。山岳専門の天気予報のヤマテン天気予報では、白馬岳は午前中は大荒れ、昼頃晴れることもあるが、午後からは冬型気圧配置になり強風と悪天になるとの予想でした。雨雲の動きを見ながら、最も雨が激しい時間を避けて、6時20分に出発しました。しかし、雨はいまだ激しく降っています。

 かなり強烈な雨でした。でも、数年前に下ったばかりの既知のコースであり、時間に余裕があり、蓮華温泉に下るだけなので、歩き始めました。樹林帯に入り、下り始めると、白馬大池付近の斜面に降った水が大量に流れ込み、登山道は足首近くまで水が流れるただの沢下りの様な状況でした。確かに昨日から雨は降っていましたが、ここまでの水量は予想できませんでした。地形的にはトラバースの下りなので、増水の可能性はなさそうだったのです。しかし、登山道がえぐれていたため、雨水が集中したようです。

 それでも、足元が見えないほどではなく、岩場なので、普通にステップを踏んでいけば、とおっれるような道でしたので、ゆっくりと安全に下りました。途中で、斜面に水が流れ出す場所があり、そこから水がザーザー流れ、登山道は、ただの雨に濡れた山道に戻りました。遠くで雷もなっていましたが、もう稜線から離れ、樹林帯なのでそのまま下ります。

 ほっとしたのもつかの間、トラバース道の下りなので、今度は斜面を流れ落ちる沢を渡る必要がありました。これまた大増水で、まるで小滝のようでした。しかし足場はしっかりしているので、私が流れに立って安全を確保し、参加者に足場を指示して、スムーズに渡り切りました。

 安心したのもつかの間、このような渡渉が、いくつもありました。しかしながら、すべてうまく乗り切って、天狗の庭へ。もう雷も鳴りやんでいました。しかしものすごい風です。どうやら稜線もすごそうです。

 天狗の庭は、蛇紋岩の露岩地です。このため、天狗の庭には高木がなく、高山植物が生えています。ここでゆっくり植物を撮影。ミヤマムラサキなどの高山植物が生えているのには驚きました。ここまで予想時間通り。

 さらに下っていきます。また樹林帯なので風もおさまり、これからは増水もない登山道のはずなので、ほっとして下っていきました。

 すると、前方から登ってくる中高年登山者の一団が・・・。彼らにはまだまだ、大変な登山道が待っているので、我々は道を譲り、グループの先頭のリーダーらしき方に、これから登山道の状況が非常に悪くなることを伝えました。さらに、最後を歩いていたサブリーダらしき方にも伝えました。天気がよければ少し遅いにしても時間的に問題はなく、皆さんちゃんとした山装備なので、何とかなりそうでした。私は普段なら、他の登山者にあまりこちらから話しかけることはしないのですが、なんとなく気になって、現状を伝えたのです。

 我々はそこから、植物観察をしながら、蓮華温泉まで下りました。蓮華温泉では日が差したり、大雨になったり目まぐるしく天候が変化しました。

 この日、蓮華温泉から登ってきたグループはこの方たちだけでした。ニュースが正しければ、彼らが遭難されたようでした。山で一瞬会話を交わした方々でしたが、心よりご冥福をお祈りします。

 彼らはそんなに高齢とは思えます。コースタイム通りに歩けるならば無謀登山ではないでしょう。昼頃には晴れる天気予報なのにいつまでも大雨が続き、8月に冬型気圧配置になるという、予測が難しいところに判断ミスがおこしてしまった、気象遭難だと思います。

 それでも山で死んではいけません。私はこのことを心に刻み、決して事故のないように、山で死なないように安全第一でやっていきたいと思います。 

ダケカンバ

Canon EOS R5 MarkⅡ
Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM