サラノキ

サラノキの森の花との出会い

 初めてサラノキの花を見たのは、ネパールのトレッキング基地でありネパール第2の都市のポカラから、インド国境にタライ平原へ移動中のバスの車窓からでした。野生のサラノキの花を見たことはないし、よい写真も見ていませんが、「これがサラノキだ!」と直感しました。大きな木が、淡白黄色の花に彩られていました。遠くからだと、どんな花かもわかりませんでした。

 翌朝チャーターしたジープに乗って、サラノキの林に入っていきました。 初めて見たサラノキの花は、不思議な花でした。最初は本当に花と疑ったくらいです。花は淡い黄白色で、小さく、そして大量に集まって咲きます。葉と同時に開花するので遠目だと、黄緑色に見えます。木全体を包む雲のようでした。5弁の花弁は先端のほうが細く、渦を巻いている模様です。花の量は非常に多く、ひとつの木に数万もの花が咲いていました。

 サラノキはネパール・インドの国境付近、ヒマラヤの山々が、平原と交わる場所に生えています。現地では、サラノキばかり生える純林になっています。別名サラソウジュ、シャラノキ。学名はShorea robusta。

サラノキの森
サラノキの森

植物の世界にはまだ発見がある

「沙羅双樹の花の色」と平家物語で歌われ、だれでも知っているサラノキ(サラソウジュ、シャラノキ)。しかし、野生のサラノキの巨木の森が、ネパールで守られて、すばらしい森となり、3~4月に一斉開花することは、日本ではほとんど知られていません。知られていないことを見たい、知りたい、そして知って欲しい、これが私の自然に対する基本姿勢です。

サラノキの花
サラノキ