メギ科 イカリソウ属 シオミイカリソウ
九州で見たかった植物ですが、あまり情報もなく、最初は見られるかどうかもわかりませんでした。それでもたまたまよさそうな情報を得て、とある海岸近くに向かいました。
山間の細い道を車で走っていると、白くて小さい花が目に入りました。たぶんこれがシオミイカリソウではないかと思って安全な場所に車を停めて、斜面に見に行くと白くて小さいシオミイカリソウの花がありました。イカリソウより小さく、バイカイカリソウより少し大きいシオミイカリソウです。特徴は常緑なことです。緑の大きい越冬葉の上に、今年になって生えた小さく柔らかそうな新葉が伸びています。越冬用はトキワイカリソウのようにツヤツヤしていません。
九州は1週間近い滞在中ずっと晴れでした。しかし残念ながら、前日までは晴れてよい天気だったのに、シオミイカリソウに出会ったこの日に限って強い風と雨の春の嵐が吹き荒れていました。暗く、雨も降っていて、風も強く、シオミイカリソウはブランブランと揺れてばかりで、うまく写真が撮れませんでした。かわいい花なのに残念です。でもまあ一応撮れたからいいかな。
シオミイカリソウは九州の東海岸近くと、四国にだけ分布するイカリソウです。バイカイカリソウとイカリソウの雑種のヒメイカリソウの海岸型とされているようです。イカリソウ属は雑種起源の種がよくあるようなので、スミレにありがちな不稔性の雑種とは意味が違い、種子を作ります。海岸型とするには自生地は海岸ではなく、ちょっと林に入った場所を好むようですが・・・。平凡社の「日本の野生植物」にはシオミイカリソウの記載がありませんが、大分県では準絶滅危惧植物に指定されています。
草丈は20~40cm。葉は先端が尖り常緑。花はイカリソウやトキワイカリソウと同じ形で、茎の先端で下を向いて咲きます。