山を歩いていると、野生生物による危険に出会うこともあります。ちなみに、日本の山で人間にとって一番危険な生物は(ヒトは置いといて)スズメバチです。日本の山では秋になるとスズメバチの巣が大きくなり、働きバチ数が多くなりでとても危険なのです。クマも6月と10月には要注意です。しかし、ただ怖がっていても意味がありません。科学的に相手(スズメバチとクマ)を知ることが最大の防御になるのです。
スズメバチへの対処法
スズメバチは普段は人間を襲うことはありません。たまに山で一匹でうろうろするスズメバチを見かけますが、エサを探しています。「ブーーーーン」飛んでいますが、人間には興味を持っておらず、しばらくすると飛んできっ来ます。近づいてきても、決して手で払ったりしてはいけません。早く動くものにスズメバチは興奮して攻撃してきます。注意するべき時はお弁当を食べるとき。肉食でもあるので、肉や果物を食べてくると寄ってくることもありますが、それでも決して払ったりしないようにしましょう。
スズメバチは、人間が巣に近づくと、攻撃してきます。スズメバチの巣に近づかないようにしましょう。巣にはたくさんのスズメバチが集まっていますので、「ブブブブブブブブ~」と羽音がします。この状態では特に危険がありません。音に注意して、早めに迂回しましょう。
スズメバチの巣の周りには必ず番兵役のスズメバチがいます。巣に近づくと人間に付きまとって「カチ!カチ!」と大きな音をたてます。振り払ったりすると、マーキング液を飛ばしてきます。これが付くと普段は働きバチ役のスズメバチが興奮して次から次へと総動員して襲ってくるということになります。これを避けるには「ブンブブブンブン!カチ!カチ!」という音を聞いたら、体を低くして、スズメバチを刺激しないように、さっと逃げます。
大量にスズメバチが襲ってきたら、全力疾走で逃げます。立ち止まってもダメです。巣から距離をとらなければ、払っても払っても次々とスズメバチの増援が来ます。できる限り全速力で、とにかく逃げましょう。
ツキノワグマの対処法
本州のツキノワグマも今年は多いようです。ツキノワグマの被害にあわないためには、まずクマよりも先に見つけることが大事です。耳を澄まし、いつも遠くを見ながら歩きます。この時期はドングリやブナの実を食べていることが多く、バリバリ、ガサガサ音がします。クマがこちらに気づくと「コフッ」と警戒音を発します。クマは移動時には音をあまりさせませんが、昼間っから登山道を歩くような不用心な真似はしません。
見通しの悪いところでは手をたたいたり、ストックで石をたたいたり、大声を出したり、笛を吹いたりして、人間の存在を知らせます。ただ人間がいるということをクマに伝えるだけでなく、人間がクマを注意しているぞ、と知らせることが大事なのです。
クマ鈴はいつも音が出ているので、人間が近づいていることがクマにはわかりにくいことがあると聞いたことがあります。人慣れしている、または人間の怖さを知らない、人間がいることは知っていてもあまり気にしないクマが増えているようです。ラジオも同じです。ラジオを聴いていると注意力が散漫になるうえ、クマが発生させる音が聞こえません。クマ鈴もラジオも漫然とクマに注意を向けずに歩いている人には、しないよりしたほうがクマ対策に少しは効果があると思います。しかし、本当は周囲を注視しクマを探し、クマの多たてる音を聞き、クマより先に見つけることが大事です。クマ鈴もラジオもTPOを考えて使いましょう。
クマをクマより早く見つけたら、決して走って逃げてはいけません。クマは走って逃げる動物(ヒトも動物)を追いかける習性があるからです。走らず、クマを見ながらゆっくり去っていきます。
クマに見つかったまたはクマに見つかる可能性が高い場合は、まず木の幹に隠れます。できるだけ太い木がよいですが、なければ細い木でもよいでしょうクマは5体があるものを人間と理解しているようです。このため、半身が隠れるとクマが認識しにくくなるようです。また、急に攻撃されにくくなる効果もあります。
ばったりクマと鉢合わせしてしまったら、やはり走って逃げてはいけません。クマと対峙することになります。なるべく自分を大きく見せたりしながら、ゆっくり避けましょう。木の幹があればそこを目指します。クマが攻撃してきたら、持っているカメラを振り回したりしましょう。ストックは非常に有効です。ストックの先をクマの顔に向けましょう。クマの最も危険な攻撃の噛みつきを防ぐことになります。
クマスプレーはクマと対峙した時に有効です。しかし、常に右腰(右利きの場合)になければ意味がありませんし、重く邪魔になります。事前に練習する必要があります。1秒だけでも噴射練習をしないと使い物になりません。(全部で4~5秒)
私は、何度も山でクマに遭遇したことがあります。私が先に見つけることが多く、一度も危険な目にあったことはありません、これからも事前に注意し、事故のないようにしたいと思います。