ヌカヅキヤツシロラン 菌従属栄養植物

 ヌカヅキヤツシロランは、鹿児島県薩南諸島の三島村でしか見られない菌従属栄養植物です。タケシマヤツシロランなどと同じく、花を開かないまま自家受粉し結実します。タケシマヤツシロランに比べて、ヌカヅキヤツシロランの花は細くてすっきりした感じで、先端はあまり尖りません。菌従属栄養植物ですから、葉もなければ葉緑素もなく、全体に茶色です。おまけに花も開かないので、かなり地味な植物です。

 草丈は5=15cm程度。リュウキュウチクの竹林の中にトカラヤツシロランや、タケシマヤツシロランと一緒に生えていました。タケシマヤツシロランの花は先端が尖った三角錐に近い形、ヌカヅキヤツシロランは三角柱に近い感じがして、見たらすぐわかりました。

 しかし、こんな人口100名程度の小さな島に、4種類ものヤツシロランの仲間が生えている(クロシマヤツシロランは見ていませんが)なんて、とても不思議です。小さな島だからこそ、小さな部分で別々に進化をするヤツシロランがいたのではないでしょうか。この三島の島々(特に竹島と硫黄島)は7300年前(縄文時代)に大噴火(アカヒヤ噴火)を起こした鬼界カルデラにあります。この他m、ここの生き物は、7300年以上の歴史はないわけです。それなのにこの短期間で多様化している・・・。どのような理由があるのでしょうか。

 離島の竹林の中では、花粉を運ぶ昆虫が少ないのでしょうか。4種類ものヤツシロランがある三島村ですが、花が開くのはトカラヤツシロランだけ。他の3種は花が開きません。ここにも何か理由がありそうです。

 ヌカヅキヤツシロランの名前は、額が地面につくほどの丁寧なお辞儀・礼拝を意味する「額突き(ぬかづき)」から命名されました。花は開きませんが、穴の中では大きな動きがあり、ずい柱が深くお辞儀をするように曲がり、その動きを深いお辞儀(額突き)としたのが名前の由来です。ヤツシロラン(アキザキヤツシロランのこと)は、熊本県の八代(やつしろ)で発見されたのが名前の由来です。現在ヤツシロランという植物はなく、アキザキヤツシロランの別名となっています。

ヌカヅキヤツシロラン
(Gastrodia flexistyloides)
花が終わりかかると、
先端の下の部分が
わずかにキュッと出てきます。


Canon EOS R5 MarkⅡ
Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM
ヌカヅキヤツシロラン
花はギュッと閉じたままで、
このまま開きません。
三角柱に近い形です。
タケシマヤツシロランは
この部分が三角錐でカエルの口みたいです。


Canon EOS R5 MarkⅡ
Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM