バラ科 サクラ属
オクチョウジザクラは越後の春を代表する野生のサクラです。どちらかというと目立たない存在ですが、木々の芽吹きと共に咲きだし、小さな花は薄桃色の霧のようです。花付きはあまりよくないし、花は小さく、下を向いて咲くことで、例年はどうしても地味な印象となってしまいます。ところが、今年のオクチョウジザクラはやたらと花付きがよく、どのオクチョウジザクラもぱんぱんに花を咲かせています。
オクチョウジザクラは雪の積もる斜面を好み、冬の間は雪の下で過ごします。このため、オクチョウジザクラの枝ぶりは、ぺったんこの印象で、夏も雪に押し付けられたままの2次元的な広がりになります。木の幹の根元付近はは曲がっていることが多いです。オオヤマザクラのように一本の幹が高く太くなるのではなく、株立ちするように生えるのも特徴のひとつ。滋賀県から青森県までの日本海側に分布します。
花弁の長さは1㎝。花柄と萼筒に細かい毛が密生しています。雌しべは無毛。萼筒に基部ははっきりと膨らみことはありません。
よく似たチョウジザクラは、太平洋側に生えています。チョウジザクラの花はオクチョウジザクラより小さく、雌しべの根元に毛が生えています。萼筒は明確に膨らみます。