山のツツジを見るために栃木の山に行きました。そろそろアカヤシオが咲いているのでは、と思ったのです。登るのは、まだ登ったことがない山です。どんな山か楽しみでした。
中倉岳、沢入山は日光の南側に連なる足尾山地の山です。ふたつとも、庚申山から伸びる尾根にあるピークです。
山頂近くに登ると、アカヤシオが咲いていました。他の木が少ないために、アカヤシオがかなり目立ちます。乾いた尾根上の岩場に多く、群落になります。ピンク色の花~かなり濃い紅色まで花色に変化があります。
雄しべに毛があるのが特徴です。アカヤシオは短い雄しべの花糸の付け根にも少し毛があります。よく似た紀伊半島や四国に分布するアケボノツツジは雄しべの花糸の付け根は無毛です。ほぼそこだけなのですが、この雄しべの毛というのは、ツツジなどの植物にとって固有の生き方を表しているので、小さいけれども非常に重要なのです。
この山は標高は1500m以上あります。山頂付近は浅春で、木々もほとんど芽吹いていません。アカヤシオも蕾が多く、花はこれからでした。1500m以下のアカヤシオの花はよく咲いていました。
足尾山地といえば、足尾銅山の鉱毒で知られた山です。この近くの山は、以前はハゲ山でしたが、緑化の努力があり、だいぶ緑が戻っています。谷沿いはハンノキだけだったり、単調な植生なのは仕方がないですね。下草もほとんど生えていません。タチツボスミレ、ツボスミレくらいの小さいものだけです。
山の奥には、古い木も残っていました。アカヤシオやゴヨウツツジ、コメツガ、ブナなど。銅の精製の煙害だけではなく、最近はシカの食害に悩まされているようです。山を歩いていて、有毒のヤマツツジがかなり激しくシカの食害を受けていることがわかりました。ヤマツツジも食べてしまう。そうとうシカも飢えているのでしょう。アカヤシオとトウゴクミツバツツジはなぜか食べられていませんでした。