オクチョウジザクラ 越後の植物

バラ科 サクラ属

 オクチョウジザクラは越後の春を代表する野生のサクラです。どちらかというと目立たない存在ですが、木々の芽吹きと共に咲きだし、小さな花は薄桃色の霧のようです。花付きはあまりよくないし、花は小さく、下を向いて咲くことで、例年はどうしても地味な印象となってしまいます。ところが、今年のオクチョウジザクラはやたらと花付きがよく、どのオクチョウジザクラもぱんぱんに花を咲かせています。

 オクチョウジザクラは雪の積もる斜面を好み、冬の間は雪の下で過ごします。このため、オクチョウジザクラの枝ぶりは、ぺったんこの印象で、夏も雪に押し付けられたままの2次元的な広がりになります。木の幹の根元付近はは曲がっていることが多いです。オオヤマザクラのように一本の幹が高く太くなるのではなく、株立ちするように生えるのも特徴のひとつ。滋賀県から青森県までの日本海側に分布します。

  花弁の長さは1㎝。花柄と萼筒に細かい毛が密生しています。雌しべは無毛。萼筒に基部ははっきりと膨らみことはありません。

よく似たチョウジザクラは、太平洋側に生えています。チョウジザクラの花はオクチョウジザクラより小さく、雌しべの根元に毛が生えています。萼筒は明確に膨らみます。

オクチョウジザクラ
Prunus apetala var. pilosa
長い冬の間、ずっと木は雪の下。
春になって雪がとけると
突然、むくっと起き上がり、
花を咲かせ、小さな葉を開きます。

Canon EOS R
Canon RF24-105mm F4-7.1 IS STM

オクチョウジザクラ
この花は白に近いですが、ピンク色の個体もあります。
つぼみもかわいいです。
花柄と萼筒の毛深さがわかります

Canon EOS R
EF-EOS R
Canon EF100mm f/2.8L Macro IS USM