キク科 キク属 ノジギク
ノジギクは兵庫県の県花です。私は元兵庫県民で、物心がついた時から、サラリーマンとして働いていたころまで、多くの時間を兵庫県で過ごしました。しかしながら、今まで兵庫県でノジギクを見たことがありませんでした。私の暮らしていたエリアが、都市化が進んだ阪神間だということが大きいのだと思いますが、裏山である六甲山にもよく登りましたが、そこでも見た記憶がありません。それで、なぜ兵庫県の花がノジギクなのだろうか、というのが半世紀近く疑問でした。もちろん知識としては、姫路周辺にノジギクが生えていることを知っていました。
今回姫路を旅して、やっとその疑問が解けました。姫路の大塩周辺の裏山は、昔はすべて段々畑や草地になっており、そこにはノジギクの大群落があったのです。姫路や赤穂は塩田が多く、製塩が一大産業でしたが、塩田には必ず堰堤があり、鍬柄を買っている堰堤にもたくさんのノジギクが生えていたのです。戦前までの姫城は一大ノジギクの自生地だったのです。
兵庫県に野生のノジギクがたくさん生えている状況で、兵庫県の県花がノジギクになったのでしょう。今回姫路を歩いてみてやっと納得しました。それに大塩の市民はノジギクを今も深く愛していたのです。植物とそこに暮らす人々がいい関係を保っているところにはとても好感が持てました。いつまでも続いてほしいものです。