ハナカズラ 九州の植物

キンポウゲ科 トリカブト属 ハナカズラ

 今年の九州で最大の目的の植物がこのハナカズラです。実は2年前にハナカズラ自生地を訪れたのですが、その年は花が遅く、つぼみだけでハナカズラの花は咲いていなかったのです。それ度今年こそはハナカズラの花を見るために、日付をちょっと変えて、同じ山に行きました。しかし、残念なことに、今年は大きな台風がありました。この影響でハナカズラはかなり傷んでおり、葉やつぼみは台風の風で傷んでしまい、もう一度蕾を付け直しているような状態でした。

 ハナカズラは盗掘もあったようで、個体数が2年前と半減していました。大きな穴も見られました。まことに残念です。盗掘はやめましょう。

 さて、ハナカズラですが、トリカブト属の植物です。花はトリカブトそのものです。しかし、 ほかのトリカブト属の植物と圧倒的に違うのはその茎です。トリカブト属の植物は茎があって、直立または斜上するのが特徴ですが、このハナカズラはカズラ(葛)との長ある通り、つる性なのです。日本ではつる性のトリカブトはこのハナカズラだけです。

 私にとってはハナカズラは特別な植物です。ハナカズラは30年近くずっと見たかった植物なのです。山渓ハンディ図鑑 山に咲く植物 写真永田芳男さんにハナカズラの写真が載っていて、トリカブトなのにつる植物という不思議な植物がずっと気になっていたのです。よく見ると小型のハナカズラや、周りに木や草がない場合は、一本で斜めに立ち上がる個体もありました。完全なつる植物ではないようです。

 今年、念願のハナカズラの花にやっと出会うことができました。まことにうれしいです。

 ハナカズラは、背が高い草ばかりの草原で、太陽光戦を効率よく得るためにつる性になったのではないかと考えています。しかし、私が見たハナカズラは林の中。いつか阿蘇の草原でハナカズラを見てみたいものです。

ハナカズラ
Aconitum ciliare)
つる性の茎がくねくね伸びています。
枯れ枝に巻き付き過ぎて、
効率よくはなさそうです。
これが長年見たかったハナカズラです。


Canon EOS R
Canon RF35mm F1.8 MACRO IS STM

ハナカズラ
ミヤマニガイチゴの茎に
ハナカズラの茎が
くるくる巻き付いています。
花はトリカブトそのものですが、
なんとなくアンバランスで愉快です。

Canon EOS R
Canon RF100mm F2.8 L MACRO IS USM